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自室の中に入ると、静寂が耳にまとわり付くようだ。
神無は大きく息をつき、クローゼットの前へと移動した。
床に座り込み、奥に仕舞ってある物を取り出す。
焼け焦げて、赤黒い染みが残る衣。
氷月がこちらに来た時に身に付けていた物だ。
捨てて良いと言われたけれど何故かそれは出来なくて、自分のクローゼットに仕舞っていたのだ。
畳んだ衣の上には、氷月から送られた簪もある。
少しの間、神無は瞬きもせずにそれらを見詰めていた。
やがて唇を噛み、きつく胸に抱き締める。
とても冷静ではいられない位、込み上げて来るものが胸に迫る。
押し寄せる波のように、様々なものが去来する。
これを、何と言えば良いのだろう。
何を言えば、伝えられるだろう。
まだ確かな事では無い。
自分でも信じられないような事だ。
けれど、それでも分かる。
分かってしまった。
同じなのだ、何処までも。
変わらないのだ、何処へ行っても。
いつだって、この想いだけは。
冴え渡る美しい月の光も。
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Reservoir Amulet2