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「うん。でも、私も一緒に行っていいかな?」
ひかりは気遣う瞳で続ける。
「資料室って広いし、一人で探すのは大変だよ。神無ちゃんの邪魔にならないようにするから、一緒にいてもいいかな?」
「そんな、邪魔なんて思いません」
本当に、なんて暖かな人達に自分は囲まれているのだろう。
「……有り難うございます」
「お礼なんていいよ。私が勝手に付いて行くだけだし」
ひかりは明るく言って勇に向き直る。
「じゃあ、私はしばらくいなくなるけど」
「ああ、こっちは任せとけ」
勇は頷いてから、神無に案じる瞳を向ける。
「あんまり無理はするなよ。……また後でな」
「はい。失礼します」
頭を下げ、ひかりと共にその場を後にする。
自分の記憶はまだ曖昧で、頼りない。
けれど内なる声に耳を傾けて。
もう逃げたくない。
この身に刻み込まれた傷からも痛みからも。
哀しい程に、微笑みに揺さぶられて。
凍る月の眼差しが、見上げる横顔が懐かしい。
その事実からも。
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Reservoir Amulet2