07


刻み込まれた恐怖が、呪縛のように。

手足を縛り付け、動けなくなる。

辛うじて構えている太刀も、みっともなく震える。

しばらく遠のいていた闇へ、再び引きずり込まれるような。

絶望が、全てを。

「氷月さん!」

不意に凜とした声が聞こえた。

剣を振りかざした神無が視界に飛び込み、人の形を模した影へ斬り掛かる。

途端、解放されたように呼吸が楽になった。

体が自由になり、太刀を握る手にも力が入る。

「飲まれてはいけません。体を乗っ取られます」

神無は攻撃を交わした相手へ武器を向けたまま、冷静に言う。

その眼差しは、これまでに見た事が無い程鋭く厳しい。

きつく唇を噛みしめた彼女の体は、微かに震えている。

それは恐怖からか、それとも怒りからか。

『……ほう。娘、お前にも覚えがあるぞ』

「な……」

頭領の声は状況を楽しむように続く。

『本来ならば手を下した相手など忘れるが、その顔にその瞳……。我の意のままにならなかった女は、よく覚えているのでな』

「…………」

神無は無言のまま、刃のような視線を相手に向けている。

『刃を突き付けられ炎に巻かれても屈しなかった。決して口を開かなかった。だからこそ興味深く、手に入れたく思ったものだ』

- 137 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2