08
燃え上がる朱い炎。
手のひらを染める、朱い鮮血。
今も尚狂おしく鮮やかに支配する、朱の記憶。
あれは時の向こうの出来事だ。
此処にいる神無が知るのは、氷月に聞いた話だけだ。
どんなに似ていても、別人の筈なのに。
頭領はまるで、本人に対するように語る。
『今一度訊こう。何故我の元へ来なかった?あんな小さな村では一生知り得ぬ贅沢をさせてやったというのに』
「……黙りなさい」
神無は驚く程に低い声を出した。
「言った筈です。力を振りかざせば何でも手に入ると思ったら大間違いだと。私は絶対に屈しません」
剣を構え直し、前へと飛び出す。
今度は交わす暇さえ与えず、影に斬り掛かる。
一瞬の内に霧散するのを見届けて、独り言のように呟く。
「ずっと、この為に……この為に、私は剣を取った。今度こそ、守りたくて」
「……神無」
立ち尽くしたまま名を呼んだ氷月の方を振り返り、切なそうな寂しそうな瞳で続ける。
「私なの、氷月」
口調が変わった。
呼び方が変わった。
それはもう還らない想い出の中の、彼女そのもののようで。
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Reservoir Amulet2