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「とにかく、どうぞ。お話する時間は、これから沢山ありますから」

促され、部屋の中へと足を踏み入れる。

見た事の無い調度ばかりだが、目が覚めた時にいた白い部屋とは違って落ち着いた色が使われている。

その中で、よく見慣れた物が目に止まった。

丁寧に畳まれた、あちこちが焼け焦げて赤黒い染みが残る衣。

そして、小さな飾り玉の付いた簪。

「貴方がこちらに来た時に身に付けていた物です」

神無が、そっと手に取って差し出した。

「…………」

通り過ぎて来た朱い情景。

此処にいると、全てが遠く夢のようで。

しかし全てが本当だ。

狂おしく燃え上がる、喪失の嘆きも。

忘れてはいけない。

あの痛みこそが、共にいた証なのだから。

この先もずっと、楔のように。

胸に抱き、思い出すだろう。

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