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その場で倒れた状態のまま、どれ位の時が流れたのだろう。
永遠のようにも思え、同時にほんの一瞬だったようにも思えた。
不意に足音が耳に届いた。
名前を呼ぶ声も聞こえる。
ああ、やはり来てくれたのか。
「神無!」
抱き起こされた体には、もう力が入らない。
「氷、月……?良かった、無事で……」
ありったけの力を込めて、温かな腕に触れる。
「早く、逃げて……。此処は、危ない……。貴方は、狙われてる」
そう伝えた途端、氷月の表情が変わった。
会ったばかりの頃を思い出させる、激しい後悔に捕らわれたような。
深く果てない影を帯びたような。
今の言葉で、思い出したのかもしれない。
失われていた、以前の自分を。
体を支えてくれている彼の腕は、小刻みに震えている。
熱い雫が、頬に落ちて来た。
ああ、泣かないで。
必死に手を持ち上げて、熱い涙の伝う氷月の顔に触れる。
「氷月……そんな顔をしないで」
そんな顔をしないで。
そんな、自分の全てを責めるような顔を。
存在を、生まれて来た事さえも責めるような顔を。
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Reservoir Amulet2