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「…………」

迷わず頷くべきだとは分かっていた。

戦いの前に、弱気な事など言っていられない。

けれども、言葉は喉に引っ掛かったように上手く出て来なかった。

氷月の様子を見ていた鏑が、息を吐いて頭をかく。

「ま、そうだよな。並の方法じゃ、勝てやしないよな。だからこそ、お前達が呼ばれる事になったんだから」

不意に不敵な笑みを浮かべ、力強く氷月の背中を叩く。

「前にも言っただろ。お前がこっちに来たのは奇跡だってな。影魂なんていう訳の分からない相手でも戦おうって思えるのは、お前や神無がいてくれるからなんだぞ。だからお前は、堂々としてりゃいい」

「……僕には別に、大した力なんて無いよ」

「それでいいんだよ。大切なのは力の有無じゃなく、何を想いどう行動するかだろ」

大切なのは、力じゃない。

心の内の秘めたものと、それに基づく行動。

本当に、全く逆の教えだ。

力が全てという中で生きて来た者にとっては。

そう教え込まれて来た者にとっては。

信じる事は中々難しいけれど、信じてみたい。

そんな暖かで、優しい教えだ。





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