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「でも、死んだんだよな?」
黙って聞いていた鏑が言う。
翼は頷き、何処までも静かな口調で答えた。
「ええ。私が殺しました」
「……っ」
思わず言葉を失った二人を、巫女の紺青の瞳が見据える。
「私が、ある意味では彼に最も近く……また遠い存在です。私は人の暖かな感情、優しさや愛や慈しみといった想いが集まって生まれた……。人の想いの化身です。私もずっとこの姿のまま、古の時を生きて来ました」
途方も無い話だ。
けれどあの頭領のただならぬ気配を思い出せば、翼の言う事は納得出来る。
だから、その対となる存在も信じられる。
実際にこの巫女の纏う雰囲気は、普通の娘よりも遥かに広く、深い。
生も死も時も、移り行く世のあらゆるものを見て来たような気配がある。
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Reservoir Amulet2