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「……悲しい事に、人の闇の力が強かったからです。あの人はその力で、全てを望むようになりました。世界の全てを治めたいと。人と交わり、盗賊団の頭領となり、その欲のままに生きるようになってしまったのです」
巫女の目が伏せられ、その声も暗く沈む。
「私達は人の心の化身ではあれ、決してそこから生まれた力を自身の為に使うべきではありません。まして支配を望むなど、それ程に人の世に干渉するなど、許される事ではありません。私は何度か留まらせようと説得を重ねましたが、あの人は聞き入れようとはしませんでした。それどころか多くの人を手に掛け、血を流すようになり……。あの人の中に積み重なった思念が、表に出て来てしまったようでした」
「それで、あんたは頭領を倒す事にしたのか」
「はい」
重々しく頷き、翼は顔を上げた。
それは覚悟を決めて戦いへ出た者の表情だった。
「私はあの人を倒しました。けれども、その内の思念まで消し去る事は出来ませんでした。私の中の想いの力より、思念の力の方が上回っていたからです」
「……そうか」
鏑は何処か寂しそうに呟いた。
「美しい想いよりも、綺麗じゃない思念の方が強かったのか」
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Reservoir Amulet2