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「ええ。その為にあの人の体は滅んでも凝り固まった思念は消えず、現代のこの時にまで残る事になりました。長い時の間に思念は更に濃く暗く淀み、あの人に力を与えました。そして影魂により人々の体を奪い、世界をその手に治め滅ぼそうとしているのです」

その言葉に、氷月は思わず息を詰めてから言った。

「滅ぼす?治めるのが目的じゃなくて?」

「はい。人の思念の力はそこまで来ているのです。世界の全てを滅ぼしたい。穢れと嘆きに満ちた世界を終わらせたいと。それを果たせば、あの人の内の力は最強と言っても良いでしょう。故にあの人は全てを求め手にし、滅ぼす事を望んでいます。己の身すら省みない強さで」

「……ある意味、人にとっては自業自得なのかもな」

頬杖をついた鏑が、誰にともなく口を開く。

「世界の滅びを望んでいるのは、人なんだろ」

「そうですね。あの人の力の源は人の思念ですから。悲しみや憎しみの根底にあるのは消え去りたい消し去りたいという破滅の感情なのでしょう。けれど」

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