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昔の自分を知るのは、時に辛く苦しい。

けれどその中に、自分の生きる理由や存在する意味を見出せる場合があるのも確かだから。

だから、きっと。

「きっと、今よりも笑えるよ」

どんなに長く生きていたって足りない位。

溢れる幸せと共に笑える。

世界には、生には、きっとそれだけの価値がある。

「有り難うございます、氷月さん」

微笑みを返した翼は、調子を変えて言った。

「さあ、私との話はこの辺りにしましょうか。まさか準備が終わるまで、私と過ごすつもりではありませんよね?」

「はあ?何だよ、突然……」

氷月の反応などお構いなしに、翼が続ける。

「先程も言いましたが、私の事情など気にしなくて構いません。それはまた別の話です。貴方には、もっと気にするべき方がいらっしゃるでしょう?」

巫女は氷月の背を優しく押して送り出した。

「行ってあげて下さい。貴方の大切な人の元へ」

その声を聞いて、改めて感じた。

やはり翼にも、側にいたいと願う大切な人がいるのだ。

だから、きっと大丈夫だろう。

そう信じたから、氷月は振り向かず廊下を歩き出した。





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