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「もう、生意気言わないの」
軽く頭をはたかれて、反射的に顔を上げる。
優しく寂しい瞳が、至近距離から氷月を見詰めていた。
「氷月が悪い訳じゃないでしょう。何でも自分のせいにして、一人で背負おうとしないの。一人だけじゃどうにもならない問題だってあるでしょう。それに私は、倒れていた貴方を連れ帰った事を後悔なんてしていない」
痛みを知る度に揺らぐ瞳。
けれど、その声には一本の糸が通った強さがある。
「誰かが倒れているのを見て、助けないなんて。それが正しかったなんてどう考えてもおかしい。傷付いている人に手を差し伸べるのは当然でしょう。その時に助けたらどうなるか、自分の身がどうなるかなんて考えないのが普通でしょう」
迷わない、譲らない部分。
何度も何度も、自分の中で考えて悩んで。
それでも変えられない糸。
彼女の声には、それが現れている。
「例えば結果として、その行為が自分や周りの人や、その人自身を傷付けてしまうとしても。助けるという事は間違っていないでしょう。それが間違っていると言うのなら、この世の理の方が歪み始めているの」
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Reservoir Amulet2