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「まあ別に、氷月にとっては大した意味も無かったかもしれないけど」

「……か……」

思わず口から出かかった言葉を飲み込む。

年上の神無が、こんな可愛らしい顔を見せたのは初めてだ。

新鮮で嬉しいけれど、今はそんな事を言っている場合ではない。

「とにかく、移動するよ。此処がどの辺りなのか確認しないと」

立ち上がりながら、周囲の様子を素早く確かめる。

木々が生い繁るこの場所は、どうやら山の中らしい。

白く染まる息と、頬を切るような冷たい空気は冬だ。

「……季節と場所は外れてはいないみたいね」

「そうだね。上手く目的の時に着けてたらいいんだけど」

並んで山道を歩き出し、ふと既視感を覚える。

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Reservoir Amulet2