03
耳や首に装飾品を付けている為か、かなり大人びているように感じる娘。
その落ち着いた態度からも、恐らく氷月よりは年上だと分かる。
「……前から思っていたんだけど」
「はい?」
少ししてから話し掛けると、神無が大きな瞳を向けて来る。
「あんた、外ではあの白い羽織は着ないのか?」
「白衣の事ですか?あれは仕事着ですから。出掛ける時は着ないんです」
「ふうん」
こんな些細な疑問にも、神無はいつも丁寧に答えてくれる。
そうでなければきっと、もっと戸惑っていたに違いない。
「だけど、白が似合うね。あんた」
「えっ?そうですか?」
思いがけない言葉に、神無が瞳を瞬かせる。
「と言うか、淡い色が似合うよ。……その衣も悪くはないけど」
「……あ、有り難うございます」
まだ驚いたような娘から目を逸らし、氷月は自分の胸元に手をやった。
ポケットと呼ばれているらしいそこには、あの簪が挿してある。
これを持っていても、今更意味は無いけれど。
それでも、思いがけず訪れた穏やかな日常に紛れてしまわないように。
戒めのように、楔のように、身に付ける事にした。
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Reservoir Amulet2