09
白刃が無情に振るわれる。
ああ、また一人、尊い命が。
知らない内に震えていた体に、そっと誰かが触れた。
顔を向けると、すぐ側にしゃがみ込んでいる神無と目が合った。
彼女の目にも涙が光っていたが、それでもこちらを案じてくれているのが分かる。
大丈夫と伝えたくて、神無に向かって頷いてみせる。
神無も頷きを返し、二人揃って静かに腰を上げる。
身を隠していた木の陰から出て、村の方へと近付く。
誰にも気付かれないように物陰に隠れながら、少しずつ進む。
やるべき事は分かっている。
だから今はこの光景を、目に胸に焼き付けながら。
この痛みを忘れないよう、この身に魂に刻み付けながら。
前に進むだけだ。
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Reservoir Amulet2