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その時、再び足音が響いた。

「むごい事をしましたね。こうまでして人の思念を集め、何をするおつもりですか」

凛とした口調、なびく黒髪。

白い千早に真紅の袴。

現れたのは巫女、天承翼だった。

時を越えた先で出会った翼と、全くと言って良い程変わらない。

「それを聞いてどうする」

「返答次第では、貴方を止めます」

「出来ると思っているのか。本当に、我に勝てると?お前も分かっているのだろう。この世は浅ましく黒く淀むもので満ちている。見守るだけの価値など無いと」

「……そうだとしても」

巫女は手にしていた弓をきつく握り締めて続ける。

「人の心から暗き思念が消え去る事が無くとも、見捨てられて当然という事にはなりません。人は誰かを愛し慈しむ心を持っています。だから、貴方がこの世界を支配し滅ぼすと決めているならば」

矢がつがえられ、声に鋭さが増した。

「私は貴方を止めます。これ以上、好きにはさせません」

「……面白い。やってみろ」

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