33
必死に留めようとする巫女の力でも、それには届かない。
「…………」
荒い息を吐いて膝をついた巫女に、地面に倒れたままの頭領が途切れ途切れに声を掛ける。
「結果が、出たようだな……。この世界において、力があるのは……我に積み重なっていた思念だ。此処で、我の肉体が滅びようと……飛び散った思念は残るぞ……。それはやがて、この世界全てを覆い、滅ぼす……」
「まだです」
巫女は立ち上がると、きっぱりとした声で言った。
「まだ、結果が出た訳ではありません。世界が滅ぶと決まった訳ではありません。ですから、私は」
影が光に当たり護れるように、少しずつ消えて行く頭領を見詰め、静かに続ける。
「止めてみせます、必ず。貴方に、人の想いは強いと証明してみせます」
「……面白い、やってみせろ」
応じる声はもう、風の音に紛れる程弱々しく響く。
やがて頭領の姿が完全に見えなくなった。
佇む巫女は、その様子からずっと目を逸らさなかった。
しばらくの間そのままでいた後、ようやく収まり始めた炎の中を立ち去る。
涙は流さなかったけれど、後ろ姿は泣いているようだった。
- 236 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet2