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「……そうか。ならば生きて行け、氷月」
「……っ」
朱月と名付けた本人に氷月と呼ばれ、一瞬息が止まる。
「あの時拾った命……無駄にするな。その娘の為にも……」
声が次第に消えて行く。
姿が、どんどん見えなくなる。
氷月はその様をしっかりと見詰めて頷いた。
「はい」
脆いものであるかのように消える頭領に向かい、決意を口にする。
「僕を拾ってくれた事、感謝しています」
して来た事は許せるとは思わない。
けれど、憎しみだけを持ち続けられない。
「人の想いは強い。その事実と共に、今は眠って下さい」
何処かでずっと、この結末を望んていたのではないかと。
だからこそ彼は、満足そうに笑って消えたのではないかと。
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Reservoir Amulet2