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「…………」

神無が黙ったまま、気遣う瞳を向けて来る。

今感じている痛みを、言葉に出来ない感情を分かち合いたいと。

そう願ってくれているのが分かるから。

氷月は手を伸ばし、神無の腕を掴んだ。

触れた温もりに、心から安らぎを覚える。

そのまま引き寄せて、腕に抱き締める。

温かい体が強ばり、さらさらとした髪が頬をくすぐる。

「氷月……?」

戸惑うように名を呼ばれて、回した腕に力を込める。

「ごめん。今は少しだけ、少しだけこうさせて」

囁いた声がかすれた理由を、彼女は分かったただろうか。

甘い香りのする髪に押し付ける頬に、涙が伝った事を。

どうして泣くのか、自分でも分からなくて。

嬉しいのか、哀しいのかも分からなくて。

ただ涙だけは止まらなくて。

少し勇気を出せば触れ合える温もりが、ひたすらに愛しくて。

泣いて泣いて、此処から。

ようやく生まれ変われるのかもしれないと思った。

還り着き、辿り着いたこの場所から。

覚えのある光に包まれるのを感じながら、以前した自問を思い出す。

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