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まるで恋人に向けるような、或いは姉に向けるような。

そんな情が、確かに込められていた。

「頭領が自分で気付いていたかは分からないけど、あの人は天承さんが好きだったんじゃないかな。だから心の何処かで、消されてもいいと思ってた」

神無に執着を示したのも、彼女が何処と無くあの巫女に似ていたからではないのか。

その感情が姉を慕う弟のようなものだったのか、それは分からないけれど。

「思念が積み重なる前のあの人がどんな人だったのか、僕は知らない。だけど本当は優しくて、誰かのことを世界のことを案じていたんじゃないかと思う。せめて、僕はそう信じていたい」

許されない事を沢山して、多くの罪を犯した人でも。

その本質は善なのだと信じていたい。

せめて、自分位は。

「私も、信じる」

目の前で親しかった隣人達を殺され、暮らしていた村を焼かれ。

自らも斬られた神無も、静かに頷いた。

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