13
「氷月」
名前を読んでくれるだけで、毎日が輝いて。
「私も氷月のこと……」
好きという言葉が、確かに空気を震わせて。
澄んだ涙が、神無の頬を伝う。
「前にも言ったけど……。あの時は哀しませてしまったから。今度は、笑って聞いてね。私、知っている貴方も知らない貴方も、全部、全部大好き」
だから、今度は。
氷月は指でそっと綺麗な涙を拭い、薄く色付く唇に口付けた。
朱に染まった涙ではなく、透き通る涙を流す神無に、言い尽くせぬ想いを伝えられるように。
甘く熱く燃え上がる恋情で、この口付けで、少しでも慰めを。
やがて唇を離し、微笑んで告げる。
「今度は、幸せに生きて行こう。一緒に」
「……ええ」
幸せそうに笑ってくれるだけで、胸は満たされる。
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Reservoir Amulet2