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夜の空気は冷たく凍てつき、肌を刺すようだ。
昼間は賑やかな通りでも、今は歩いている者は少ない。
しかし、夜は更けても街は明るい。
「……此処は、夜でも光が沢山あるんだね」
ぽつりと呟くと、隣を歩く神無が窺うような目を向けて来た。
「氷月さんが以前いた所では、夜は暗いんですよね」
「そうだね。外に出れば灯りなんてほとんど無いから。照らすのは星と……月の光だけ」
いつも闇路を照らすのは優しい光。
淡く柔らかな、美しい光。
「月が好きなんですか?」
ふと問い掛けられて見返すと、神無は何も知らない瞳で続ける。
「とても優しい目で月を見ていらっしゃいますし、お名前も氷月さんですものね」
「……そう、だね」
曖昧に頷いた瞬間、時が戻ったような気がした。
『それなら、氷月。……思い出せるまで、そう呼んでいい?』
額に触れる、柔らかな手のひら。
目に映った娘の、眩しい眼差し。
穏やかで暖かに流れ出した時。
耕す土の匂いと心地良い疲れ。
並んで見上げる満天の星空。
そして、浮かぶ月。
『私、冬の凍るような月が好きなの』
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Reservoir Amulet2