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「さて、そろそろですね」

鋭く落ち着いた声が、氷月の思考を遮った。

神無が足を止めたのは、夕方の買い物の帰りに通り掛かった道だった。

その視線が向く先に、街灯に照らされて浮かび上がる妙なものがある。

「何……あれ」

黒くぼんやりとした、影のようなもの。

煙の塊のようにも見えるが、そこからは明らかに何かの意志が感じられた。

長い間研ぎ澄ましながら生きて来た、感覚が告げる。

あれは害意を持って、そこに在る。

神無は少しの間じっと影を見詰めていたが、やがて動いた。

コートのポケットに手を入れ、携帯電話を取り出す。

素早くボタンを押すと、耳に当てて言った。

「影魂【えいこん】、確認しました。これより鎮静に入ります」

向こうからの返事を聞いて、電話を切る。

すると、微かな音と共に神無の手元に細長い物が現れた。

神無がそれを掴むと、何処からともなく出て来た物が、しっかりと手に握られる。

その冴えた輝きを見て、氷月は思わず息を飲んだ。

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