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にわかには信じ難い内容に、隣に座る神無を見る。

神無は真剣な表情で、補うように言う。

「人の思念というものは、時に非常に厄介です。事実、これまでに憑かれた人は意志を失い、周囲の人や物を傷付けています」

「今のところ、その数は少ない。全て内密に対処出来る位にはな。だが、今後もっと増えてくれば水面下での対応も困難だ。何しろ影魂に憑かれたら、その前がどうでも、皆が戦の達人になっちまう。刀なんぞ持たれたら、並の人間じゃまず歯が立たない」

「それに影魂には、現代の武器は通用しません。立ち向かうには剣を取る必要があります」

氷月は納得して息を吐いた。

「……成程ね。僕に協力させたがってたのは、そういう事か」

「ああ。現代にも剣を習う人はいる。だが、武術としてだからな。実戦で命を賭けての打ち合いなんて、経験は無いんだ」

「それに混乱を避ける為、一般の方にあまり事情を話せない状況でもありますし」

「ったく、本当に面倒だよな」

ぼやいた鏑が腕組みをしながら氷月を見据える。

「そこで、影魂となった人が生きていたと思われる時から戦力を呼び寄せるという方法が、試験的にだが実行された。歴史に干渉する事をなるべく少なくする為に、死ぬ寸前だった人の強い叫びに反応するよう設定してな」

「…………」

しばらく黙り込んだ氷月は、やがて呟くように言った。

「何で戦ってるんだ?あんた」

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