04
「そうじゃない。ただ……」
この身に戦いが染み付いている事を、改めて実感した。
しばらく穏やかに暮らしていたにも関わらず。
刀を握れば、体は張り詰めた感覚を思い出して自然と動く。
人を斬り、傷付け、血を浴びて生きていた朱の記憶。
刻まれているのだ、今も尚。
その罪が消える事などありはしない。
けれど、だからこそ出来る事もある筈なのだ。
氷月は途切れた言葉の続きを待つ娘を見据えて言った。
「あんたは強い。強いけど、何があるかは分からない。だから、僕が守るよ」
「……氷月さん」
見返す澄んだ瞳が、一瞬戸惑うように揺らいだ。
「有り難うございます」
何かを言おうとして口を閉ざした神無が、結局は微笑んでそれだけを口にする。
そこで鏑が、改まった様子で氷月に向かって言った。
「とにかく氷月は今後、影魂の調査や鎮静のメンバーとして活動してもらう。色々準備があるから、ちょっと俺と一緒に来い」
「分かった」
「じゃあ、私も仕事に戻りますね」
「おう、ご苦労さん」
三人で揃ってトレーニングルームを出て、ドアの前で別れる。
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