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「そうそう。折角だし、仲良くなれた方が楽しいもの」

同意した女性は、明るい声で続けた。

「私は、神崎ひかり。宜しくね、氷月君」

「……兄妹?」

二人を見比べて氷月が尋ねると、神無は慌てたように否定する。

「ち、違いますよ!勇さんとひかりさんはご夫婦です」

「やっぱりそう見えるよな。年は離れてるし、ひかりは幼く見えるし」

気を悪くした様子も無く笑った勇を、ひかりが軽く殴る。

「幼く見える、は余計だよ!」

「本当の事を言っただけで殴るなよ」

言い返した勇をもう一発殴ってから、ひかりは神無の方を向いた。

「神無ちゃんも、宜しくね。一緒に見回りは久し振りだし」

「はい。こちらこそ、宜しくお願いします」

「よし、そろそろ行くか」

勇の言葉を合図に歩き出しながら、氷月は思わず目を伏せた。

無意識の内に手で探るのは、胸元の簪。

どうして此処で会う人達は、皆こんなに暖かいのだろう。

こんな自分に、どうして当たり前のように優しくしてくれるのだろう。

どうして人は暖かく優しくなるのか。

どうしたら暖かく優しくなれるのか。

もしも今からでも間に合うのなら。

返して行きたい。

奪うより傷付けるより、築き上げて行けるような。

そんな人になりたいから。





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