10
「……別に」
氷月は首を振り、今の思考を頭から追い出した。
考えても仕方の無い事だ。
どうであれ、自分は自分に出来る事をするだけだ。
こんな穏やかな日々が、唐突に壊れてしまう事もあると知っているから。
『私、貴方に会えて……本当に幸せだったよ……』
繰り返したくはないから。
あの狂おしい痛みを。
「まあ、異常は無かった事だし、今日のところは帰るか」
じっと氷月を見ていた勇が、明るく言って歩き出す。
その後に続きながら、ひかりが親しげに神無に話し掛ける。
「神無ちゃん。仕事とかにも、もう慣れた?」
「はい、おかげ様で」
「何かあったら、いつでも相談してね」
- 52 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet2