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「…………」

夢から目覚めた神無は、ぼんやりとした頭で辺りを見回した。

静まり返った部屋の中には誰もおらず、テーブルの上も綺麗に片付けられている。

「私……」

しばらく考えてから、自分が氷月と共に映画を観ていた事を思い出した。

体を動かすと、いつの間にか掛けられていた毛布が肩から落ちた。

眠ってしまった自分に、氷月が掛けてくれたのだろう。

溜息をついて、まだはっきりとしない頭に手を添える。

何だか、とても哀しい夢を見ていたような気がする。

その内容を思い出そうとしても、霧が立ち込めているように掴めない。

ただ、果てしなく哀しいという事だけは鮮明に覚えている。

だからだろうか。

一人の部屋にいるのは、日常の事の筈なのに。

今日はやけに、静けさが深く感じる。

神無はゆっくりと体を動かし、窓のカーテンを開けた。

白み始めて行く空に、銀色の月が浮かんでいる。

目覚めを待つ世界を見守るような淡い光。

その中に身を沈めて、静かに目を閉じる。

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