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そんな風に言われると、何だか調子が狂う。

余計に素っ気無くなった氷月に、神無は更に笑った。

「分かりました。そういう事にしておきます」

この微笑みに勝てる時は、きっと来ないだろう。

一人楽しそうな様子を見ながら、氷月はぼんやりと思った。

どんなに剣を振るおうと、力でねじ伏せようと。

本当に強いのは、きっとそんなものではない。

その事を、教えてくれたのは。

「氷月さん、本当に良いんですか?」

気付くと、神無が気遣うような瞳を向けていた。

「影魂は、昔の時代を生きた人達の思念です。戦うという事は、いつか貴方のお知り合いと戦う時が来るかも……」

「そんな事を気にしなくたって良いよ。僕の知り合いなんて……ほとんどいないし」

氷月は言葉を切り、息を吐いて更に続ける。

「それに前にも言った通り、此処は今を生きる人達の世界だ。どうあっても失われるべきじゃないだろ。……まあ、此処にいる僕が言うのも何か変かもしれないけど」

「いいえ。そんな事は無いと思います」

緩く首を振った神無が、揺らがない表情で言った。

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