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「そう考えてくれる氷月さんが来てくれたのは、私達にとってとても重要な事なんです。貴方は貴方が考えているよりずっと、皆の助けとなっている。ただいてくれるだけで、研究を頑張ろうと思う力となっているんですから」
「………」
「氷月さんが此処に来てくれた奇跡が起こったのには、きっと意味がある筈です。現代のこの時にも、そして貴方にも。だから氷月さんは、此処にいて下さい。生きたいと思うのは、悪い事ではないでしょう?」
いてくれるだけでいい。
何て、暖かな言葉だろう。
『本当はね、氷月にずっと此処にいてほしい』
生まれて来た事を、存在している事を悔やんだ叫びを。
全て知っていて、許してくれるような言葉だ。
こういう優しさを向けられる度に、悔やむ傷跡が痛むけれど。
暖かさを抱く人達を、大切にしたいと思わせてくれる。
失われるべきではない。
この時代を生きる人々が、それぞれの想いを抱いて過ごしているから。
かけがえの無い尊さを秘めて、この時に存在しているから。
奪われて良い筈は無い。
考えながら歩いていた氷月は、ふと足を止めて顔を上げた。
影魂を見る時に感じる気配がある。
隣の神無が同じ方向へと厳しい視線を向けながら、迷い無く言った。
「行きましょう」
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Reservoir Amulet2