05
感覚を頼りに夜の街を進んで行くと、駅の近くの脇道に辿り着いた。
その奥で見えたのは、人の形をした影だった。
いつもの、ぼんやりとした影魂とは様子が違う。
息を飲んだ神無が携帯電話を取り出し、素早く状況を報告する。
「新たに影魂を確認しました。これより鎮静を開始しますので、武器の転送をお願いします」
言い終えて電話を仕舞うのと同時に、二人が腕に付けている小さな装置が光った。
次いで、手元にそれぞれの武器が現れる。
神無が握るのは細身の剣、そして氷月が持つのは長く重みのある太刀だ。
先日、鏑と共に影魂と戦う準備をした時に、自分でこの武器を選んだ。
此処へ来る前に振るっていたのは、こんな太刀だった。
何も持たず、何も思わず。
傷付け奪う事しか知らなかった、昔の自分。
あれから時は過ぎて場は移り、幾つもの変化があった。
でも、最も変わったのは。
変わりたいと願うのは。
今、氷を名乗る自分自身かもしれない。
隣を見ると、凛とした表情の神無が剣を構えていた。
本当に不思議だ。
一人で戦う事しか知らなかった自分が、こうして誰かと呼吸を合わせている。
共に太刀を振るう度、その事実に驚いてしまう。
人は一人でも生きて行けるのかもしれない。
けれど、きっと。
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Reservoir Amulet2