07


報告を終えて武器が手元から離れると、神無が誰にともなく呟いた。

「鎮静された影魂は」

一つ息をつき、何も見えなくなった空間を見詰めてゆっくりと話す。

「消える訳ではないそうです。全ての生命が眠る混沌へと戻り、やがてまた生まれ来る。その巡り続ける営みの中へ還るんだと」

まるで自分に言い聞かせているような言葉を、氷月はただ黙って聞いていた。

「そう、私達の使う武器に祈祷をして下さった方は仰っていました。だから、これが影魂にとっても救いになるんだと。でも、消えるのはきっと辛いですよね。存在していたいと願うのは、悪い事ではありませんから」

神無が目を閉じ、静かに続ける。

「影魂を見付けたら、見過ごす事は出来ません。誰かに取り憑く前に鎮静しなくてはならない。けれど、せめて祈りたいです。いつかまた生まれ来る命の幸いを」

どうして、彼女は戦う事を選んだのだろう。

祈りを捧げる神無の横顔を見ながら、氷月の胸に疑問が浮かんだ。

自分で選んだ事だと以前言っていたけれど、どうしてだろう。

戦いに痛みを覚える、優しい娘が。

父の反対を押し切り、厳しい訓練を乗り切ってまで。

ただ人手が足りないというだけで、そこまで出来るだろうか。

もっと深く強く根ざした理由があるような気がする。





- 69 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2