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はきはきと応じながら、神無が氷月を見上げる。

「氷月さん、何か気になる事でも?」

「確かな事は分からない。でも、あの影魂自身からは害意が感じられないんだ。ただ純粋に、生きていたいという念だけだ。だからそこに付け込んで、人に取り憑くよう操っている誰かがいるんじゃないかって。害意を持っているのは後ろにいる誰かじゃないかってね」

「誰かが」

神無は繰り返して呟き、思案するように額に手を当てた。

「でも影魂を操るなんて、普通の人が出来るでしょうか。意図的に影魂を呼び出し、操るなんて事が」

「どうだろうね。ただ、最初に影魂を見た時に感じた悪意と、その後に見た時に感じたものは同じなんだ。つまり、共通した誰かのものだ」

「氷月さん、よく分かりますね」

感心したように見上げられ、氷月は息を吐いた。

「害意には敏感なんだよ。そういうものばかりの中で生きて来たから」

暗く沈んだ瞳で答えた氷月に、不意に明るい微笑が向けられる。

「でも、今は違いますよね。此処にいる人達は皆、氷月さんが大好きですよ」

「…………」

微笑と共に、言葉の不意打ち。

本当に、敵わない。

「人の思念は恐ろしいものでもありますけど、無くしてはいけない大切なものでもありますよね。綺麗な想いも、人は確かに持っていますから」

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