07


「極秘扱いなのは、誤用を避ける為って事?」

「まあ、そうだな。それに、そう頻繁に試せるようなものでもないんだ。人が時を越えるのは、その人自身にも負担が掛かるしな」

そう語る勇の声には、身近な誰かを案じるような響きがあった。

氷月は少し考えてから口を開く。

「負担って、記憶を失ったりとか?」

その言葉に、勇が驚いたような顔をした。

「よく知ってるな」

「此処に来てすぐ、前の記憶があるか訊かれたから」

「……そうか」

少しの間黙り込んでから、勇は手を伸ばして氷月の肩を叩いた。

「この装置はな、改良が加えられて来た。天承さんの研究への協力もあって、人の精神力、意志の力も大きく影響するようになってる。それによって繋がる時や呼び寄せる相手も変わるんだ。まだまだ研究中だけどな。だから」

言葉を切り、微笑んで続ける。

「お前を必要とする存在が、こっちにいるんだよ。その時は力になってやれよな」

意味は分からなかったけれど。

妙に寂しく深い瞳に、聞き返す事は躊躇われた。

だから氷月は無言のまま頷いた。

そして、視線をガラスの向こうの装置へと戻す。

あれを通って、自分は此処へ来た。

あれが開く時の道を抜けたら、かつていた時代へ繋がっているのかもしれない。

- 87 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2