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夕食の時間になっても、神無とひかりは姿を見せなかった。

ひかりから勇の携帯に入ったメールによると、着付けが終わった直後に鏑がやって来たらしい。

「夢中で神無の晴れ着姿を撮ってるってさ。当分終わりそうにないから、夕飯は二人で食べろって」

その指示に従い、氷月は勇と共に食堂に入った。

初めての食堂の味は悪くはなかったが、やはりいつもの食事の方が良いと思った。

「俺も料理はするんだけどな。男の手料理食っても楽しくないだろ?」

氷月の心を読んだかのように、勇は笑った。

「今日の見回りが終わったら、神無に夜食でも作ってもらえよ」

「あんたはひかりさんに作ってもらうんだね」

そう返すと、勇は言葉を詰まらせてから頭をかく。

「あ、ああ。まあ、そうだろうな」

照れているのだろうか。

何にしろ、夫婦の仲が良いに越した事は無い。

氷月は考えながら箸を置き、話題を変えた。

「あれを僕に見せた理由は、何?あそこに入れる人は限られてるんだろ」

恐らく神無は、あの装置のある部屋には入らない。

氷月は一人になるのを待っていたという事は、そういう事だ。

「お前には入る資格と、必要があると思ったからな。何しろ記憶を無くさずに時を越えた、初めての存在なんだ」

勇はそれ以上言葉を重ねず、湯飲みを手に取った。

黙って茶を啜る様子を見て、氷月も追求はしなかった。

しかし、この沈黙には何かあると思った。

まだ語れない、何かが。





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