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「どうかしましたか?」

目を開けた神無に尋ねられて首を振る。

「いや、何でもない」

そう答えた時、鐘の音が響いた。

規則正しく何度も鳴らされる鐘に、神無は呟くように言う。

「除夜の鐘ですね」

厳かな音を聞く内に、氷月の心は鎮まって行った。

今まで誰にも話さなかった事を、今なら言える。

そんな気がした。

「……あのさ」

「はい」

一つ息をついてから、静かな瞳で見返す神無に向かって切り出す。

「此処に来る前……僕は数え切れない罪を犯したんだ」

唐突に思えるかもしれない言葉だったが、神無は何も言わなかった。

黙ったまま、耳を傾けてくれている。

「自分だけを信じて、他の人を傷付けて奪って生きてた。その内に盗賊団の一員に加わったけど、状況は同じだった。この体にどれだけの血を浴びて来たかは、自分でも分からない」

何も考えず、ただ手を体を朱く染め続けた。

それを罪と認識する事も無く。

「でもある時に子供を庇う母親を見て、初めて思ったんだ。このままじゃ、こんな自分じゃ、僕を生んだ親は悲しむって。両親の事なんて何も覚えてはいないけど、これじゃ駄目だって。変わりたくて、盗賊団を抜け出したんだ」

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