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以前はそうだったかもしれないが、今は事情が違う。

あの呪いの糸がある以上、どんな事件がそれと関係あるか分からない。

それに、何かあったらすぐ呼ぶという彼女との約束もある。

しかし、そんな理由を矢島に話す訳には行かない。

大地が返答に困っていると、矢島はそれ以上は追求せずにデスクの下からがさがさと何かを取り出した。

「じゃあ、これを翼君に渡してくれ。新商品らしいから、きっと歓んでくれるだろう」

「……常に煎餅をストックしているんですか、警部」

受け取りながら尋ねると、矢島は頭を掻いて笑った。

「いやはや、最近は煎餅を見ると翼君の顔が浮かんでなあ。つい買ってしまうんだ」

まるで翼の父親のようだ。

そんな事を考えながら、ふと疑問が浮かんだ。

翼の両親はどうしているのだろう。

いつからあの神社に一人で暮らしているのだろう。

そういえば彼女から、自分自身の話はあまり聞かない。

無理に聞き出す気なんて無いけれど、あの巫女の懐の広さや優しさは語らない過去から来ているのだろうか。

絶望の底に降り立ったような深い哀しみも。

『……許しませんから』

そして、静かに燃え上がる炎のような強さも。





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