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日付が変わろうとする頃、いつもよりも厳かな空気の中で舞の時間はやって来た。

設置された舞台に上がった翼が扇を広げる。

それだけで厳かな空気が一層引き締まるように思えた。

音楽も無い静寂に包まれながら、巫女は軽やかに体を動かす。

彼女が頭に着けた黄金色の冠が立てる音が、微かな衣擦れの音が、神社の隅々まで届くようだった。

夜の闇に浮かび上がる美しい舞を見ている内に、不思議な感覚に包まれる。

何かとても大きなものに見守られているような安心感。

他の皆も同じ事を思っているのか、息を飲み動きも止めて見入っている。

隣の矢島は、手にしたデジカメで写真を撮る事も忘れているようだ。

ふと、視界の端を見覚えのある金の毛並みが横切った。

以前に翼が鎮め、この神社に呼んだ神だ。

その金色は舞う翼の近くで二度三度大きく跳び、それからふっと見えなくなった。

それでもまだ、彼女の舞を見守っている事が感じられる。

大地は何となく分かった。

きっと、この祭は、舞は。





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