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「大丈夫ですか?」

問い掛けられて我に返り、自分の力で立ち上がる。

体はすっかり軽くなり、楽になっていた。

その様子を見ていた翼は微笑んで頷いた。

「良かった。無事に鎮められたようですね」

「……今のは、何だ?」

多少は落ち着きを取り戻しながら尋ねると、巫女は先程まで影が漂っていた空間へ目を向けた。

「人の思念です。隙あれば人の体を奪おうと狙う存在です」

幽霊とはまた違うのだろうか。

大地はそう思いつつ、まだ白い手に握られたままの剣を見る。

「それは?」

「ああ、これですか?あの影を斬る為の武器です。私の物ではなく、私は祈祷していただけなのですけど」

つまり、別の誰かの持ち物という事か。

色々と訊きたい点はあるが、これ以上関わるのも怖い気がする。

大地は質問を切り上げようと決め、改めて巫女に向き直った。

「貴女のおかげで助かった。感謝する」

「いいえ。これ位、何でもありません」

笑顔を返されたが、それは親しみの込められたというよりは礼儀として浮かんだもののようだった。

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