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軽い脱力感を覚えながらも、大地は答える。

「特に問題は無い。あの時はどうも」

「いいえ」

人見知りしているような微笑を再び浮かべながら、翼は大地の顔と並ぶ弁当を見比べた。

「このスーパーへ来ているという事は、この近所に住んでいらっしゃるのですよね?」

「ああ。貴女の神社のすぐ裏のアパートだ」

「あそこですか。一人暮らし用のアパートでしたよね。あの、もしご迷惑でなかったら」

前置きしてから、翼は自分の持つスーパーのカゴを示した。

「私、今夜はおでんの予定なのですけど。良かったら、少しお持ちしましょうか?」

一人暮らしで弁当を選ぶ様を見て、何か感じるものがあったらしい。

「いや……だが、そんな」

「この前、驚かせてしまったお詫びです」

こう言われては、あまり固辞するのも失礼かと思えて来る。

「有り難う。では、お言葉に甘えて」

「はい」

それから、時々食事の差し入れをしてもらったり、その容器を返したり。

お互い何処か遠慮がちで、けれども会えば言葉を交わして。

そんな関係が始まったのだ。





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