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「お願いします。行かせて下さい」

頭を下げると、矢島は呆れたように言った。

「止めろ。行くななんて言う訳無いだろう。行って来い」

「有り難うございます」

「ただ、あの翼君が黙って姿を消すなんて、余程の事情があるんだろうが」

「そうですね。でも、彼女は言っていました。無駄な事など何も無く、全てには意味があり、価値があると」

大地は向きを変えながら続ける。

「なら、彼女を見付けたいと願う俺が動いて、出来る事もある筈です」

言い残して立ち去る後ろ姿を見送って、矢島はしみじみと呟いた。

「少しの間に見違えたもんだ。随分良い男になったじゃないか。ま、俺には及ばないがな」

冗談めかした言葉を付け足しながら、自分の仕事を果たす為に動き出す。

今はただ、彼等を信じて務めを遂げるだけだ。





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