08


「大切な人……。そう、彼女が言っていたんですか?」

「ああ。あの巫女さんに恋人がいたなんて、正直驚いたけどな」

「恋……!?」

大地は思わず咳き込みながら言う。

「あの、彼女と俺はまだそんな関係では」

「なーに照れてんだよ。若者は初々しくて敵わねえな、全く」

親しげに肩を叩いた男の後に続いて施設の敷地内へと足を踏み入れる。

「ああ、そうだ。自己紹介がまだだったな」

大地の案内をしながら、男は気さくに笑った。

「俺は清世【きよせ】鏑【かぶら】。此処で働いてるもんだ。ま、宜しくな」

「こちらこそ」

鏑のおかげで、緊張がかなり解れたような気がする。

しかし、大切なのはこれからだ。

翼の為に、自分は何が出来るのだろう。

ずっと一人で頑張っていた彼女の為に。





- 172 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2