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建物の中では、幾人かの研究者らしき人とすれ違った。

大地を見ると僅かに目を見張るけれど、鏑と共にいる為か誰も見咎めては来なかった。

どんどん奥へと歩いて行く鏑の後を追いながら、大地は次第に変わる空気を感じた。

厳かな雰囲気の中、すれ違う研究者の数は減って行く。

此処にいる者の中でも、限られた人しか立ち入らない場所へ向かっていると何となく分かる。

「あの、俺がこんな所へ入って良いんでしょうか」

「本当なら、極秘だがな」

鏑は真剣な声で続けた。

「だが、あんたが此処へ来たって事は、いるべきなんだろう。彼女にとって、あんたが必要なんだろう」

最深部と思われる扉の前で足を止め、大地の方へと目を向ける。

「俺なんかが口出しする事じゃないんだろうが、側にいてやってくれ」

「……はい」

大地が頷くと、鏑はカードキーでロックを解除した。

そして、重そうな扉を押し開ける。

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Reservoir Amulet2