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そんなある日、行商の青年と出会った。

山で足をくじいている者がいると山の神に聞き、出向いた先で。

崖の下に座り込んでいる彼を見付けた。

足を踏み外してしまったのだろう。

痛みの為か目を閉じて動かない青年に駆け寄り、怪我の具合を確かめる。

自分の衣の袖で額に浮かんでいる汗をそっと拭った時、青年がゆっくりと目を開けた。

「大丈夫ですか?動けますか?」

問い掛けると、痛みを堪えるように歪んだ顔に驚きの表情が浮かぶ。

「……貴女は?」

気持ち良く響く声に逆に問い返され、くじいている足に布を巻きながら答える。

「近くの神社の者です。こんな所にいては体にさわります。私の神社まで移動出来ますか?」

「ああ、はい。すみません」

申し訳無さそうに言う青年の腕を肩に回し、支えながら立ち上がる。

崖を登らず迂回しなくてはならないから遠回りにはなるが、日が沈むまでには山から出なくてはならない。

夜の山は危険だ。

盗賊が出るかもしれないし、人に害成すものが現れる可能性もある。

このまま此処に放っておく訳には行かない。

そんな気持ちが伝わったのか、青年もなるべく自力で歩くようにしてくれた。

痛みを我慢しているのが、すぐ側で聞こえる吐息から感じられる。

早く楽な姿勢にして、休ませてあげたい。

その一心で、必死に神社を目指して歩き続けた。

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