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「見ていたんですか?」
「ああ、まあ。見えてしまったというか」
それを聞いた翼は頬を染めたが、すぐにからかうような笑顔を浮かべた。
「そうですね。何でも行商している内に女性の扱いには慣れたそうで」
「……今の俺に、あれは期待しないでほしい」
「分かっていますよ」
大地は翼の手を握ったまま、話題を変えた。
「貴女の記憶を、共に辿った。だが、まだ全てを理解出来た訳じゃない」
「そうでしょうね。私はかつて、人の思念を集めていた者と戦いました。倒す事は出来ませんでしたが、残った思念を消し去れはしませんでした。それは私が想いを信じ切れていなかったからだと、今なら分かります。あれから長い月日が流れ、そして遂に……」
大地は目を閉じ、先程垣間見た光景を思い返した。
「終わったんだな。貴女の戦いは」
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Reservoir Amulet2