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黒い闇が晴れ、後に広がる焼けた村。
その中で、労り合うようにお互いを抱き締める一組の若い男女。
彼等の姿が光に包まれる。
眩しい光が消えると、二人の姿も見えなくなった。
後に残る静寂の中で、微かに感じる気配がある。
間違える筈の無い、背筋が凍るような気配。
まさか、須佐之男が倒された後でさえも残るのか。
「……見えましたか」
問い掛けられ、夢から覚めたような気持ちで椅子に座る翼に目を向ける。
「まだ私と同調しているみたいですね。だから同じものが見える」
「残るのか、あれは」
あれは、あの思念が凝り固まったものは。
想いに包まれ、闇は晴れたというのに。
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Reservoir Amulet2