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氷月と呼ばれた少年は、探るように目を細めている。

そのやけに大人っぽい眼差しに見覚えがあると考えて思い出した。

彼は以前、天照神社の鳥居の側ですれ違った少年だ。

あの時、随分張り詰めた雰囲気だと感じて、よく覚えている。

今はとても穏やかに見えるけれど、それはきっと隣にいる娘の存在が大きいのだろう。

「……ふうん」

しばらく経ってから、氷月は意味有りげに笑った。

「やっぱりあんただったんだ。天承さんの大切な人」

「え?氷月、知り合いなの?」

神無というらしい娘に驚いたように訊かれ、氷月が改めて大地を見る。

「前に一度、すれ違った事があるんだ。僕が一方的に覚えてるだけかもしれないけど」

「いや、俺も覚えている」

大地は挨拶の握手を交わそうと、手を出しながら言う。

「よく覚えていたな。俺はそんなに印象に残る方じゃないと思うが」

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