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朝日に照らされる神社の境内に出る。

そこには既に、箒を手に掃除をしている巫女の姿があった。

こちらを見ると、手を止めて微笑む。

「おはようございます、大地さん」

「おはよう。毎朝早いな、貴女は」

「今日はお客様がいらっしゃるので、気合いを入れてお掃除を」

「客?」

訊き返すと、翼は嬉しそうに箒を握り直す。

「ええ。氷月さんと神無さんですよ」

「連絡があったのか?」

昨日はそんな事は聞いていなかったから、驚いて尋ねる。

「いいえ。でも分かります。何となくですが」

「凄いな、相変わらず」

心底感心して言うと、翼は悪戯っぽく笑って付け足す。

「大地さんの気配も、勿論分かりますから。人混みではぐれても安心ですよ」

「貴女がその格好をしていれば、目立ってすぐに見付かるだろう」

「嫌ですよ。お勤めでもないのに装束を着ていたら、コスプレだと思われてしまいます」

「……まあ、偶然姉貴に会ったりしたら大騒ぎだろうな」

こんな風に、何気無い会話を交わす事が日常になった。

家族や親しい人に事情を説明し、この神社で暮らすようになった。

とはいえ、全てを話しても到底理解はされないだろう。

時の流れから離れた事を知る、ごく親しい人以外には、もう思うようには会えない。

その事に、寂しさを覚えない訳ではないけれど。

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