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車を走らせてアパートに着いた時、その前に立っている人影がライトに照らされた。

白の千早に赤い袴は夜でも目立つ。

誰なのかは、すぐに分かった。

急いで車を停めて外に出ると、近付いて来た翼が微笑む。

「お帰りなさい」

「俺を待っていたのか?」

「はい。これを渡そうと思って。お口に合うか分かりませんが」

翼はそう言うと、抱えていた保温バッグを差し出した。

「昨日もお帰りにならなかったようですから。忙しいと思いますが、食事はきちんと食べて下さいね」

「貴女が作ったのか」

「ええ」

「そうか、有り難う。まだ食べていなかったから助かる」

バッグを受け取ってから、ふと疑問に思って尋ねる。

「だが、俺が帰るまでこの暗い中でずっと待っていたのか?女性が一人なんて幾ら何でも危ないぞ」

「大丈夫ですよ。私、喧嘩して負けた事ありませんから」

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