09
車を走らせてアパートに着いた時、その前に立っている人影がライトに照らされた。
白の千早に赤い袴は夜でも目立つ。
誰なのかは、すぐに分かった。
急いで車を停めて外に出ると、近付いて来た翼が微笑む。
「お帰りなさい」
「俺を待っていたのか?」
「はい。これを渡そうと思って。お口に合うか分かりませんが」
翼はそう言うと、抱えていた保温バッグを差し出した。
「昨日もお帰りにならなかったようですから。忙しいと思いますが、食事はきちんと食べて下さいね」
「貴女が作ったのか」
「ええ」
「そうか、有り難う。まだ食べていなかったから助かる」
バッグを受け取ってから、ふと疑問に思って尋ねる。
「だが、俺が帰るまでこの暗い中でずっと待っていたのか?女性が一人なんて幾ら何でも危ないぞ」
「大丈夫ですよ。私、喧嘩して負けた事ありませんから」
- 33 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet2