12


大地の車で移動している間も、翼は一言も話さなかった。

運転しながら助手席を見ると、沈んだ表情で何かを考えているのが分かった。

しかし後部座席の女性の存在もあって、声を掛けられない。

翼は先程少し話を聞いただけで、一体何を掴んだのだろう。

やがて女性の家に到着し、車を降りた時に翼が小声で言った。

「あの方、大地さんの恋人ですか?」

案内の為に先に立つ女性を見ながら真剣に尋ねられ、即座に否定する。

「そんな筈無いだろう。今日初めて会ったんだぞ」

「……そうですよね。でも、あの方は」

言葉を切ってから微かに息をつき、翼は大地に視線を合わせた。

「覚悟をしておいて下さい。きっと後味の悪い事になります」

この巫女の内面で燃える炎を感じて、思わず体が冷たくなった。

表面上は静かで穏やかでも翼は今、本気で怒っている。

しかし、何に対してなのだろう。

- 50 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet2